合否について一言!

 

 

◆どんな内容が合格していたか

10課題を実施した大手ハウスメーカーでの合格率は76.9%でした。
受講された方から試験でかいたプランのスケッチをもらっていましたので、どんな内容が合格していたかをまとめてみます。
グリッドはほとんど7m×7mにしていました。事務室の形は様々で、7グリッド(長方形にはならない)で短辺方向14mスパンとしているものが多く、また短辺方向7mでコアのまわりにコの字型、L字型やT字型にしているものもありましたが、事務室の形にかかわらず合格でした。
短辺方向7mでまとめた人は、SRC無柱空間をどうするかという迷いはあったと思いますが、全体のまとまりが大切だということを優先させたのだと思います。
合格している内容で共通していたこととして、1階と2階のゾーニングをうまくまとめていたということがあげられます。合格発表前の12月15日に「平成10年一級建築士設計製図試験について一言!」で言いましたように、骨格づくりがしっかりできていたということが共通点だと思います。
建築士の塾では、EV・階段・トイレなどはパーツとして固定化する方向で指導していますが、ある程度進んだ段階からは、プランに出てきた個性を尊重し「考えることを主体」にした指導方法を取っています。
以下に受講された方からアンケートで頂いた声をあげてみますが、合格者の声として、合格する上で何が大切であったのか参考にしてみて下さい。

  • 10課題こなしていくうち、どのひとつも欠けていたら気付かなかったことや、10課題目を終えてようやく理解したことが多々あった。本当に少ない枚数で、考える力をつけることができたと思います。
    (三重県I.Tさん)
  • この講座を受けていると、解答例とは違ったアプローチでもまとめられるという自由性を実感し、自由な発想ができるので、とても良いと思います。
    (静岡県S.Hさん)
  • 人の動線、ゾーニングというものに重点をおき、1つの課題に対し、いくつもの考え方があり、ゾーニングが正しくできていれば、その後がまとめやすくなるという事を教えてもらい非常に役立った。
    (東京都K.Hさん)
  • 他の学校に通っているだけでは、自分のおかしている間違いには気付かなかったと思います。情け容赦のない講評が、とてもありがたかったと思います。
    (千葉県M.Sさん)
  • 他の学校では数プランをとりあえず覚え、書く練習をすることがメインとなっていた為、設計の基本(ゾーニング、各室の組立てなど)を、この講座で初めて実践できたように思われました。
    (鹿児島県M.Kさん)

◆不合格にも色々あるはず

残念ながら合格できなかった方にも、色々な原因があったはずです。
合格、不合格と2分してしまうとそれまでですが、どういった状況で不合格であったのか自己分析しておくことが重要です。
今年また受験し、後がない(カド番)ことを考えると「早めに学校に通わなければ」と誰もが思うことでしょうが、何を補うために早くから行くのかという目的を明確にしてことが大切です。
例えば昨年3.5時間程度でかき上げるスピードが身についていて、見栄えのする図面がかけるレベルまで達しているのに、エスキースに戸惑い完成できずに不合格になったとします。
こういった方は、かく内容とかき上げるということに問題がないのだから、トレースなどといったレベルのことから再度はじめる必要は全くないと思います。かき上げられる力はついていても、本試験で魔がさし、誰がやってもうまくまとまらない方向にエスキースが進んでしまえば、かきはじめる前にツマヅキがあったことになります。
製図力、設計力という2つの面でみた場合に、これまでとってきた対策がどちらに比重があったのかをよく振り返ってみれば、暖かくなる前からはじめておかなければならないこと、暑くなってからやり直せばいいこと、があることがわかるはずです。
以下に不合格の状況をいくつか想定してみますので、状況によってこれから取るべき試験対策が違ってくることを意識しておいて下さい。

  • [かくのが遅く完成できなかった]
    かく手順とかき方の見直しが必要です。道具の選択・使い方、グリッド線と寸法線をいっしょにかく習慣など、暖かくなる前からはじめておいて、暑くなったときには、3.5時間程度で見栄えのする図面がかき上げられるスピードを身につけておくことが必要です。
  • [エスキースがなかなかまとまらなかった]
    昨年の課題は、なかなかまとまらない条件であったと思いますので、どの課題でも同じでなければ、多少割り引いて考えていいと思います。
    しかし、どの課題でもそうだったと言うと、ちょっと対策が違ってきます。
    まず、エスキースは自分で考えていく過程のメモなのだから、「自分で考えられるようになる」ことがコツです。
    このコツが誰にとってもなかなか難しいことなのでしょうが、あまりメチャクチャなことをしないように、他人から客観的に評価してもらうことは確かに必要です。
    しかし、部分的な指摘で、「ここはダメ」「こうしないさい」とインプットされてしまうと、思考にブレーキがかかるようになってしまうし、条件によって違ってくることでも「これはいけないのではないか?」と、いつも不安がつきまとうようになります。
    こういったことが、なかなかまとまらないようになってしまう原因の1つだと思います。「ダメだ」と指摘されたことに対しても、「なぜダメなのか」「どんなケースでもダメなのか」ということを問い返すようにし、固定観念にしばられず、条件に柔軟に対応できるように訓練しておくことが大事だと思います。
    こういったことに対応していくのが、講師の腕の見せ所だと思います。
  • [完成するんだけど合格できない]
    図面もそれほど見劣りするものでなく、所要室等に漏れもないのに合格できない。この場合の原因は、やはりプランに問題があるのだと思います。
    これまで何度も不合格になっているという方の図面を講評したときに、2方向避難の重複距離がオーバーしていたので、指摘をすると「全く気にしていなかった」ということでした。講習後のアンケートに「これまで、なぜ不合格であったのか、少しわかった気がする」と書いてありました。
    このように、自分でおかしている問題に気がついていないから、逆に迷うことなくエスキースを終えることができるのだと思います。
    特に避難等の安全面については法的な制限もありますし、ホールや廊下の取り方によって人の動線に混乱が生じることもあるのですから、人の流れ・物の流れについて、エスキースの中でチェックしていく習慣をつけていくことが必要だと思います。
    これまで自分のかいてきた図面を振り返ってみることで、見えてくることがあると思います。

ご意見・ご質問などあれば、kito@archicom.co.jpまでご連絡下さい。

1999年1月7日
建築士の塾 木藤浩実


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