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◆「正しい」か「誤っている」か
法規の問題の特徴として、5つの記述の中から「正しいもの」「誤っているもの」を選択するということがあります。
これは、他の教科では、「最も適当なもの」「最も不適当なもの」を選ぶということに対してということです。
法規の問題は、1つ1つの記述に対し、それが意図する法令の条文と照らし合わせて判断しますので、正誤の区別が白黒はっきりしやすい性質をもっていると言えます。
したがって、問題の記述に関して緩和規定等の例外があれば、記述中で「原則として」という言葉が使われ、例外もあるけど記述の内容としては、法令に照らすと原則「正しい」と言い切れるよう配慮されています。
◆法改正にともなう過去問の記述の矛盾
平成12年6月1日施行の法改正によって、基準法が大きく変わっています。
平成13年の試験から、現行法(改正法)に基づいた出題となっていますが、それ以前の過去問の一部を例(平成11年)に、現行法に基づいて正誤のチェックをしてみたいと思います。
防火区画等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
1.共同住宅の13階の部分で、当該階の床面積が400m2のものは、原則として、床面積の合計100m2以内ごとに防火区画をしなければならない
2.2階に床面積 600m2の展示場を有する高層事務所においては、当該展示場部分とその他の部分とを防火区画しなければならない
3.・・・
4.・・・
5.・・・
平成11年当時の旧法に基づいて判断すれば、1番、2番とも正しい記述になります。
1番の記述については、施行令第112条第5項により「正しそうだ」とまず判断できますが、内装制限と区画の条件により同条6項、7項が適用されると、区画面積が緩和され「待てよ」となります。
しかし、ここで問題の記述中にある「原則として」という言葉が効果を発揮し、6項、7項に例外はあるけど、5項に基づけば、原則「正しい」という判断ができます。
また、2番の記述については、同条第13項により異種用途区画の必要がありますので、「正しい」と判断できます。
さて今度は、現行法に基づいて厳密に正誤の判別をしてみますと、1番、2番とも「正しい」とは言い切れなくなります。
その理由は、施行令第129条の2の2第1項により、全館避難安全性能を有すると、全館避難安全検証法により確かめられた場合、施行令第112条第5項、13項の規定とも適用されなくなるからです。
1番の記述は、「原則として」とあるので、避難上の安全の検証による例外もここで意図されていると考えれば、「正しい」と言えます。
しかし、2番の記述は、「防火区画しなければならない」と言い切っていますので、例外があることを前提とした記述ではなく、「防火区画しなくてよい場合もある」との理由から、「誤っている」との判断も成り立ってしまいます。
平成11年当時と同様、1番、2番の記述を「正しい」と判断できる内容にするためには、問題文に「ただし書」を加え、以下のようにすると、施行令第112条の読解力が意図された問題であることが、はっきりしてきます。
ちなみに以下の「ただし書」は、平成13年の試験から記述されていることです。
防火区画等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難上の安全の検証は行われていないものとする。
1.・・・
◆厳密性を追求した法規の学習
法規の出題者は、受験者に対し「正しい」か「誤っている」かと問いかけている以上、例外を持ち出し受験者から反論されないよう十分配慮していると思います。
問題中の「だだし書」や「原則として」という記述は、例外を除いて判断して構わないとの出題者からのシグナルだと受け取ることもできます。
過去問の中には、上に例示しました平成11年のようなものを、そのまま解いても、何とか答えを1つに絞り込むことができるものもあります。
しかし、ここでの学習では、「避難上の安全の検証」に注意を向けることが抜けてしまいます。
出題者の意図することが読み取り切れずに、正誤判別を誤ってしまうことのないよう厳密性を追求して学習しておくことも必要だと思います。
過去問の中に表れていない新たな例外規定等を、自分で確認しながら、問題に取り組んでおくことも大切です。
なお、当塾受講者の方々につきましては、通信教育、課題配信サービスとも、平成14年1月1日現在の法令に基づき、上の点には十分配慮していますので、ご安心を。
ご意見・ご質問などあれば、kito@archicom.co.jpまでご連絡下さい。
2002年3月8日
建築士の塾 木藤浩実
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