平成21年一級建築士設計製図試験解答例

貸事務所ビル

1階に展示用の貸スペース、基準階に一般事務用の貸スペースを計画する。


建築士の塾にて、本試験の解答例を作成しましたので参考にしてみて下さい。
なお、解答例は、本試験与条件を当塾独自に解答し、1つの考え方として位置づけています。

新試験元年ということで、どういった特色、難易度の試験になるのか注目していましたが、ここでまず、6月に中央建築士審査会から公表されていた試験内容の見直しに照らしてみます。
「所要室に関し、室構成や床面積を細かく指定し、これに従った設計図書の作成を要求する従来の方式を改め、室構成や床面積を大括りの設定とするなど、設計の自由度を高める出題とする」と示されていますので、ここにある「設計の自由度」をキーワードに見ていきたいと思います。
自由であることは、すべて自分の判断で決めていかなければならず、指定された方がある面楽なところもあります。自分の判断で決めていく場合、建築に関する基本的な知識だけでなく、建築物の一般的な姿を構想する力や常識に照らした判断力も試されることになると言えます。

今回の出題の中で、機械式駐車場を地下1階に計画することが要求されていますが、地上に設けるターンテーブルとカーリフトの設置のみを指定し、あえて方式等の詳細には触れない形をとっています。地下1階のことは、位置を図示するのみで平面図に地下1階の詳細を示すことは求められていませんので、採点する側も推測で読み取っていくしかない点は残ります(言葉は悪いですが、余計な事を書かなければ、ごまかしがきいてしまいます)。
図示された範囲の大きさから、@水平循環方式(2層) A車路+2段昇降装置 B車路+平面駐車 と考えているのか?などと地下1階の様子を推測し評価していくことになると思います。AとBは自走する車路と駐車してから人が地上階へ昇っていくEV等の縦の動線が必要になりますので、地下1階の計画を考えれば、車路の計画やコアとの取り合いが必要となる後者ほど難しくなります(図示する範囲はそれなりの想定をもって示す必要があり、適当に示しておけばいいというものではありませんので)。
条件にある「機械式駐車場」「30台分格納」という表現や、地上の建築物の平面的なボリュームから30台を平面駐車するのは難しくなることが予想されるBは外して考えるのが妥当だろうというのが、常識的な判断になるのだと思います。計画の合理性から考えれば@もしくはA当たりで詰めていくことが妥当な計画ではないかと思いますが、地上階のコアとの整合性などから、うまく計画できているようなら、減点はあってもBを全否定できるものでもないと考えます。
出題側が、機械式駐車場という要求にとどまり、その方式まで細かく指定しなかったのは、「機械式駐車場」「30台分格納」という表現から水平循環方式だと常識的に判断しなさいということなのか、「設計の自由度」の中でどう対処しますか?といった投げかけになるのか定かではありませんが、採点側に「なるほど」と思わせる内容になっているのかどうかが大事なところだと思います。
「設計の自由度」に視点をおいて機械式駐車場を例にしてみましたが、これのみで合否が決まるほど重要であるとの思いから例にあげたわけではないことは断わっておきます。

周辺環境に対する配慮にしても、商業施設、公園、住宅地がある中で、地上7階建ての事務所ビルの一般的な姿とはどうあるべきなのか?アプローチ、貸事務室、ショールーム、喫茶室、駐車場の出入口、オープンスペースのあるべき配置を個々限定した上で、部分ごとに評価されるものではないはずです。
中央建築士審査会からの公表では、「空間構成(建築物の配置計画、ゾーニング・動線計画、所要室の計画、建築物の立体構成等)に関し足切り点を設定する」と、配点上ここを重視することが示されています。
空間構成とは何かと言えば、建築物全体のまとまりであり、このまとまりの是非を前提に、貸事務室などの個々の構成要素を部分的に評価していく視点が必要ではないかと思います。
各自がエスキース過程でしていく判断の優先順位が異なれば、当然、結果としての配置計画、所要室の計画に違いが出てくるものです。
はじめに正解ありきで、この違いだけで部分ごとの是非を評価するのであれば、「設計の自由度」はなくなります。個々の構成要素の配置は多数派に属していてもプラン全体のまとまりに欠けるものもあれば、いくつかの構成要素の配置が少数派であってもプラン全体としてまとまっているものもあるはずです。
実際、条件から細かい指定を外し自由にしてしまうと、指導・講評は難しくなるのではないかと8月の講座開講時には思っていましたが、実施してみて思ったことは、それなりにプランの評価に差を見い出すことができるものだということです。問題作成時には想定外の解答であっても全体の構成から部分を見ていくと「なるほど」と思わされるものもあれば、部分部分への配慮は感じられても全体の構成を見ると首を傾げてしまうものがあるのも現実です。

毎年言えることですが、合格者でも部分的な難点はかかえているし、プランも一様ではありません。
大切なのは、プランの骨格すなわち空間構成(配置計画、ゾーニング・動線計画、立体構成、スパン割)がしっかりまとまっていることだと思います。
人と違う考え方であっても、現実的で骨のあるプランなら見る側を説得できるはずですし、受験者の多くが難しいと感じ、同じような難点をかかえているとしたら、その部分での差はつきにくいとも言えます。これは新試験になっても、変わりのないところだと思います。
後になれば色々な不安が出てくるでしょうが、結果は、発表までは誰にもわかるものではありませんので、「待つ」ことが建築士の試験の最後の試練と言えます。


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性別
男性 女性

年齢
10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳以上

平成21年の受験
学科から 製図から 未受験 既資格者

勤務先の業種

設計事務所 積算事務所
コンサルタント業 建設業
官公庁 住宅メーカー
建材・設備メーカー 不動産業
団体(社団・財団等) 教育関係
学生 その他

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